健康診断の季節になると思い出す
小さい頃は近くの病院に母に連れられて予防注射に行っていたのですが、私と姉が小学生で兄が中学生の時のことです。
その日はインフルエンザの予防接種で病院の待合室で姉と2人で本を読んでいました。「まぁ嫌がってもどうせ射たれるしさっさと終わるのを待とう」と考える可愛くない子供だったのですが、子供らしく靴を脱いで椅子に乗っかって窓から見える景色(病院の一階で外の道が見える配置だった)を見たりもしてました。
兄が大の注射嫌いで、母は私達2人よりも兄を宥めるのが大変そうでした。
でも今日はいつもよりも静かだなぁと思っていると、順番が回ってきて名前が呼ばれました。
やっとか…と行こうとすると母が慌てています。
「どうしたの?」
「お兄ちゃんがいない」
「えぇ?」
どうせ悪あがきでトイレでも行ってんじゃないか、と思いふと窓の外を見ると、そこには見慣れた背中が見えました。
「…お母さん」
「なに?」
「あれお兄ちゃんじゃない?」
「は?」
私が指を指した方向には全速力で病院から脱走する兄の姿が。
「え?!ちょっと、◯◯ーーー!!!(←兄の名前)」
(いやもう聞こえないだろ…)
母が追いかけるもむなしく逃してしまいました。
中学生3年にもなって注射が怖くて脱走するとか…
今では彼も立派(?)な二児の父。
三人兄弟の長男としてお義姉さんにお世話になっています。
どうか甥っ子がこの血を受け継いでおりませんように…と願っておりますがどう見ても行動が兄のそれなので今から不安で仕方ありません。